外国人社員の「一時帰国休暇制度」とは?助成金を活用した定着支援を詳しく解説
一時帰国休暇制度とはどんなもの?
外国人社員を雇用する企業にとって、「長期間、母国の家族に会えない」という問題は、離職やモチベーション低下につながる大きな課題です。
そこで注目されているのが、年次有給休暇とは別に、外国人社員が母国へ帰るための有給休暇を設ける「一時帰国休暇制度」です。
2026年度の「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」では、この制度を新たに導入し、一定の要件を満たした企業に対して助成金が支給されます。

一時帰国休暇制度とは
一時帰国休暇制度とは、外国人社員が母国・出身国へ一時帰国する際に取得できる、会社独自の特別有給休暇です。
助成金の対象とするためには、労働基準法で定められた通常の年次有給休暇とは別枠で設けなければなりません。
主な要件は次のとおりです。
- 就業規則または労働協約を変更し、新しい制度として導入する
- 通常の年次有給休暇とは別の有給休暇とする
- 1年間に1回以上取得できる制度とする
- 連続した5日以上の有給休暇を取得できるようにする
- 支給申請日時点でも制度を継続して運用している
- 実際に外国人社員が制度を利用して一時帰国する
制度を就業規則へ記載しただけでは、助成金の支給要件を満たさない可能性があります。
外国人社員が実際に連続5日以上の一時帰国休暇を取得し、会社がその期間の賃金を支払ったことを証明する必要があります。
年次有給休暇との違い
この制度で特に重要なのが、通常の年次有給休暇を5日取得させるだけでは、助成金の対象にならないという点です。
例えば、外国人社員が保有している年次有給休暇から5日間を使って帰国しても、「一時帰国休暇制度を新たに導入した」とは認められません。
会社は年次有給休暇とは別に、「一時帰国特別有給休暇」として5日以上を付与する必要があります。
土曜日・日曜日が休日の会社であれば、月曜日から金曜日までの5日間を一時帰国休暇とし、前後の土日を組み合わせることで、外国人社員は最大9日程度の帰国期間を確保できます。
会社の賃金負担は原則5日分ですが、外国人社員にとっては、家族と過ごせる貴重な時間になります。
2026年度の助成額
2026年度の制度では、就労環境整備措置1制度の導入につき20万円、1事業主当たり最大80万円が支給されます。
助成金の活用では、原則として次の基本的な取組が必要です。
- 雇用労務責任者の選任
- 就業規則等の多言語化
- 苦情・相談体制、一時帰国休暇制度、社内マニュアル・標識類等の多言語化のうち、いずれか1つ以上を新たに導入
一時帰国休暇制度だけを導入すれば、直ちに助成金を受けられるわけではありません。
基本となる就労環境整備と組み合わせ、認定された計画に従って導入・実施することが必要です。
どのような制度にすればよいのか
GRITMANでは、次のような制度設計を推奨しています。
- 対象者は会社が雇用する外国人労働者
- 年1回、連続する5所定労働日の休暇
- 年次有給休暇とは完全に別枠
- 休暇期間中は通常勤務した場合の賃金を支給
- 原則として取得日の30日前までに申請
- 家族の死亡や重病などの場合は緊急申請を認める
- 航空券、旅程表、搭乗券などの確認書類を保存
- 翌年度への繰越しや未取得分の買取りは行わない
- 航空運賃などの旅費は原則として本人負担
- 休暇取得を理由とする不利益な取扱いを禁止する
「連続5日」の解釈については、助成金申請の確実性を高めるため、単なる暦日ではなく「連続する5所定労働日」として定める方法が安全です。
就業規則への記載が必要です
一時帰国休暇制度は、口頭での約束や社内慣行だけでは不十分です。
次の内容を就業規則または労働協約へ明記します。
- 制度の対象者
- 取得できる日数
- 年次有給休暇とは別枠であること
- 有給として賃金を支払うこと
- 申請期限と申請方法
- 帰国を確認する書類
- 旅費負担の取扱い
- 繰越し・買取りの取扱い
- 制度を利用したことによる不利益取扱いの禁止
常時10人以上の労働者を使用する企業は、改定した就業規則を労働基準監督署へ届け出る必要があります。
常時10人未満の企業についても、助成金申請では、制度を全社員へ周知したことが確認できる書類が必要になります。
多言語での周知も重要です
助成金を活用する場合は、一時帰国休暇制度だけでなく、就業規則や労働条件通知書などの多言語化も重要です。
日本語の就業規則を作るだけでは、外国人社員が制度の存在や利用方法を正しく理解できないことがあります。
少なくとも、現在雇用している外国人社員が理解できる言語で、次の内容を説明しましょう。
- 何日間取得できるのか
- 給料は支払われるのか
- いつまでに申請するのか
- どのような書類を提出するのか
- 航空運賃は誰が負担するのか
- 帰国前に必要な在留・再入国手続
外国人社員本人から、制度説明を受けたことを確認する署名を取得しておくと、周知の証拠としても活用できます。
支給申請に必要となる主な証拠
一時帰国休暇制度を利用した場合、次のような書類を保存します。
- 一時帰国休暇申請書
- 会社の承認記録
- 航空券、搭乗券の半券、旅程表など
- 一時帰国したことを確認できる書類
- 連続5日以上の取得が分かる出勤簿
- 有給であることが分かる賃金台帳
- 改定後の就業規則
- 労働基準監督署への届出書類
- 多言語化した就業規則
- 外国人社員への周知確認書
出勤簿には、単に「有休」と記載するのではなく、「一時帰国特別有給休暇」と明確に記録することをおすすめします。
先に制度を導入しないでください
助成金を活用する場合、最も注意しなければならないのが手続の順序です。
原則として、就労環境整備計画を作成して労働局へ提出し、認定された計画に基づいて制度を導入・実施します。
計画提出前に就業規則を改定したり、先に一時帰国休暇を取得させたりすると、助成対象外になる可能性があります。
基本的な流れは次のとおりです。
- 外国人労働者の雇用状況を確認する
- 現在の就業規則を確認する
- 就労環境整備計画を作成する
- 所定の期間内に労働局へ計画を提出する
- 認定後、就業規則を改定する
- 就業規則を多言語化する
- 外国人社員へ制度を説明する
- 外国人社員が一時帰国休暇を利用する
- 出勤簿・賃金台帳・搭乗券などを保存する
- 支給要件を確認して助成金を申請する
計画期間は3か月以上1年以内です。計画書は、計画期間初日の6か月前から1か月前までの間に提出する必要があります。
離職率にも注意が必要です
助成金を受給するためには、外国人労働者の定着に関する要件も満たさなければなりません。
原則として、就労環境整備措置の実施後6か月間における外国人労働者の離職率が15%以下であることなどが求められます。
外国人労働者が2人以上10人以下の場合は、算定期間中の離職者数が1人以下であることが基準となります。
また、計画提出日から離職率算定期間末日まで、継続して雇用されている外国人労働者が1人以上いることも必要です。
雇用人数が少ない企業では、1人の退職が助成金の判定に大きく影響するため、事前の確認が欠かせません。
外国人社員の定着に直結する制度です
一時帰国休暇制度は、助成金を受給するためだけの制度ではありません。
外国人社員にとって、母国の家族と会うことは、精神的な安心や仕事への意欲につながります。
企業にとっても、次の効果が期待できます。
- 外国人社員の離職防止
- 採用競争力の向上
- 会社に対する信頼の向上
- 家族からの理解と安心
- 長期雇用とキャリア形成の促進
- 外国人社員からの紹介採用の増加
- 多文化共生型の職場づくり
特定技能、技能実習、技術・人文知識・国際業務など、外国人材を継続的に雇用する企業にとって、非常に実用性の高い福利厚生制度です。
無料ガイドをダウンロードできます
一時帰国休暇制度の導入を検討する企業向けに、実務で使用できるガイドをご用意しました。
ガイドには、次の内容を掲載しています。
- 2026年度助成金の要件
- 一時帰国休暇制度の設計例
- 就業規則に追加する条文案
- 一時帰国休暇申請書の項目
- 会社側の運用方法
- 必要な証拠書類
- 申請までのスケジュール
- 導入時のチェックリスト
- 受給できなくなる主な注意点
【一時帰国休暇制度・導入実務ガイドをダウンロード】
GRITMANが導入をサポートします
GRITMANでは、外国人材の採用だけでなく、採用後の定着、教育、多言語対応、職場環境整備まで一体的に支援しています。
一時帰国休暇制度の導入についても、次のサポートが可能です。
- 助成金対象可能性の事前確認
- 外国人雇用状況の確認
- 制度設計と運用フローの作成
- 就業規則改定案の作成支援
- ベトナム語・ネパール語・英語などへの翻訳
- 外国人社員への制度説明
- 申請書・周知確認書などの帳票整備
- 出勤簿・賃金台帳の記録方法の支援
- 提携社会保険労務士との申請連携
助成金の申請手続は、提携する社会保険労務士と連携して対応します。
制度を先に導入すると、助成金の対象外になる場合があります。就業規則を変更する前に、GRITMANへご相談ください。
外国人社員が安心して働き続けられる会社を、一緒につくっていきましょう。
GRITMAN株式会社
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※本記事は2026年8月7日時点の制度情報に基づいて作成しています。実際の申請にあたっては、厚生労働省、管轄労働局及び社会保険労務士へ最新の取扱いをご確認ください。
詳しくガイドブックはこちらから
2026年度の助成金要件(一時帰国休暇制度ガイドブック).pdf
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