外国人社員の配属変更後に必要な届出と社内記録を詳しく解説|「異動させて終わり」にしない14日管理
結論:最初に「何が変わったか」を一枚にまとめる
外国人社員の配属変更後に必要な対応は、在留資格の名称だけでは判断できません。異動前後の業務、就業場所、賃金・勤務時間などの労働条件、雇用契約や支援計画の変更の有無を一枚に並べ、在留制度上の手続、労務上の手続、本人への説明を分けて確認することが出発点です。
特に「特定技能」は、特定技能雇用契約を変更したとき、原則として変更日から14日以内の届出が関係します。一方、「技術・人文知識・国際業務」などでは、同じ会社の中で部署だけが変わったこと自体を、会社との契約終了・新規契約として届け出る制度ではありません。ただし、新しい仕事内容が在留資格で認められる活動から外れていないかは別問題です。「社内異動だから入管は関係ない」と一括りにしないことが重要です。
1.異動前後の差分を六つの項目で記録する
異動日が決まったら、次の六項目を「変更前/変更後」で整理します。
- 所属部署・指揮命令者
- 実際に行う業務と、その業務に使う知識・技能
- 就業場所・事業所名・現場の所在地
- 賃金、手当、労働時間、休日、交替勤務
- 雇用契約書・労働条件通知書の変更箇所
- 特定技能1号の場合は支援計画に影響する事項
役職名だけでは判断材料が不足します。「製造部から品質管理部へ」のような部署名に加え、日常業務を動詞で書きます。例えば「検査結果を集計する」「不具合原因を分析する」「作業手順を翻訳する」「ライン作業を行う」などです。同じ部署でも主たる業務が変われば、在留資格との関係を再確認する必要があります。
2.「技術・人文知識・国際業務」は新業務との適合性を再確認する
出入国在留管理庁は、「技術・人文知識・国際業務」を、自然科学・人文科学の分野の技術や知識、または外国文化に基盤を持つ思考・感受性を必要とする業務などに従事する活動として示しています。配属変更後も、実際の主たる業務がこの範囲に入るか、本人の学歴・職歴と業務の関連性が保たれるかを確認します。
社内の研修として一時的に現場作業を経験させる場合と、単純作業を主業務として恒常的に担当させる場合は同じではありません。名称を「管理」「通訳」「エンジニア」にしても、実態が変わるわけではありません。判断が難しいときは、辞令を出してから説明を考えるのではなく、新しい職務記述書を作り、申請取次行政書士や管轄の地方出入国在留管理官署へ事前に確認します。
本人が会社を退職して別会社と契約する場合や、契約機関の名称・所在地など所定の事項が変わる場合は、「所属(契約)機関に関する届出」が関係します。届出事由から14日以内という期限があるため、社内異動と転籍・会社変更を混同しないようにしましょう。
3.「特定技能」は契約・事業所・支援計画の変更を照合する
特定技能所属機関が特定技能雇用契約を変更した場合は、原則として変更日から14日以内に「特定技能雇用契約の変更に係る届出」が必要です。出入国在留管理庁は、雇用条件書を変更後の契約内容の証明資料として添付する場合、本人が十分に理解できる言語で翻訳・説明し、理解を確認したうえで署名を得るよう示しています。
ただし、すべての細かな変更に同じ届出が必要とは限らず、届出不要とされる取扱いも公表されています。基本給、手当、所定労働時間、休日、従事する業務、活動する事業所など、何が変わったかを最新の様式・Q&Aと照合してください。1号特定技能外国人の支援計画を変更した場合には、雇用契約の変更届とは別に、支援計画変更の届出が関係することがあります。
4.労働条件の変更は「本人が理解したか」まで確認する
配属変更に伴い、勤務地、勤務時間、交替勤務、手当、休日などが変わる場合は、就業規則・雇用契約・労働条件通知書と照合します。会社が一方的に変更できるかどうかは、変更内容や契約、就業規則、合理性などによって異なります。外国人社員だから包括的な同意で済ませてよいわけではありません。
説明資料は、やさしい日本語または本人が理解できる言語で用意し、次の順で確認します。
- 変更する項目と、変えない項目を分けて示す。
- いつから変わるかを日付で示す。
- 給与や勤務時間への影響を具体的に示す。
- 本人の質問と会社の回答を記録する。
- 本人に自分の言葉で説明してもらい、認識のずれを確認する。
署名があっても、在留資格に適合しない業務が適法になるわけではなく、不十分な説明が自動的に解消されるわけでもありません。
5.想定例:品質管理部への異動
以下は実務整理のための想定例で、特定企業の事例ではありません。
「技術・人文知識・国際業務」で製造技術に従事する社員を、品質管理部へ異動させるとします。人事は、異動後の主業務を「検査データの分析、不具合原因の特定、改善報告書の作成」と記録し、学歴・職歴との関連を再確認します。勤務時間や勤務地、賃金が変わらない場合も、その事実を差分表に残します。ライン検査だけを主業務にする計画なら、肩書だけで判断せず、在留資格との適合性をあらためて専門家へ確認します。
同じ異動が特定技能外国人に関係する場合は、分野別の業務範囲、活動事業所、雇用条件、支援計画への影響を確認し、必要な届出を期限内に行います。
6.企業が今週できること
今週は、直近6か月の外国人社員の異動を一件ずつ一覧にしてください。「異動日」「在留資格」「業務の差分」「契約条件の差分」「本人説明日」「届出要否の判断者」「提出日・受付記録」を並べます。提出が必要なのに期限を過ぎている可能性がある場合は、放置せず、管轄官署や専門家に対応を確認します。
今後の異動については、人事発令の申請書に「外国人社員の場合の在留資格・届出確認」欄を追加すると、現場だけで異動が決まり、後から人事が知る状態を減らせます。
FAQ
Q1.同じ会社の別部署へ移るだけなら、入管への届出は不要ですか。
一律には言えません。「技術・人文知識・国際業務」等で契約機関が変わらない社内異動は、通常、契約機関の終了・新規契約の届出そのものではありません。しかし、業務内容が在留資格の範囲内かは確認が必要です。特定技能では、雇用条件や活動事業所、支援計画の変更に関する届出が生じることがあります。
Q2.14日を過ぎたら届出できませんか。
期限を過ぎたことを理由に放置しないでください。遅れた事情も含め、速やかに管轄の地方出入国在留管理官署へ確認します。
Q3.本人の署名があれば問題ありませんか。
署名だけでは足りません。変更内容を本人が理解できる方法で説明し、在留資格、労働契約、就業規則、届出要件をそれぞれ確認します。
GRITMANへのご相談
GRITMANでは、配属変更前後の職務整理、本人説明用の多言語資料、特定技能の支援計画、在留手続の確認を一つのチェック表にまとめる設計をご相談いただけます。最終的な届出要否は、実際の在留資格、契約、業務内容を確認したうえで判断します。
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出典
- 出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』」:更新日の明記なし/2026年10月12日確認
https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/gijinkoku.html - 出入国在留管理庁「所属(契約)機関に関する届出」:更新日の明記なし/2026年10月12日確認
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri10_00015.html - 出入国在留管理庁「特定技能所属機関による特定技能雇用契約に係る届出」:更新日の明記なし/2026年10月12日確認
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri07_00187.html - 出入国在留管理庁「特定技能雇用契約の変更届出が不要となる場合の取扱いについて」:2023年8月31日公表/2026年10月12日確認
https://www.moj.go.jp/isa/content/001401874.pdf
次回予告
次回は新連載「育成就労への移行準備編①」として、制度施行に向け、中小企業が今から整理する受入れ職種・育成計画・支援体制を扱います。


