外国人スタッフ年金一時脱退金制度の理解(是か非か?)

「一度形式上の退職をして脱退一時金を受け取り、その後すぐに再雇用する」というスキーム。これは外国人スタッフにとって非常に大きなメリットがある反面、会社側には「社会保険の喪失・再取得手続き」手間が発生します。

助成金の申請にも関係してくるので慎重に考えたいものです。

しかし、考え方として「優秀な人材を長期的に引き留める(リテンション)ための、戦略的なリフレッシュ休暇」として活用することが自社を伸ばしていく戦略と捉えてはいかがでしょうか。

1.社長への説明(人材流出防止のメリットを強調する)

「このままでは彼は辞めてしまうが、この手続きを認めれば、今後も長く働いてくれる」という継続雇用のメリットがあります。

ポイント:

  • このまま働き続けると彼が損をするため、モチベーションが下がるか、他社へ転職(完全帰国)してしまうリスクがある。
  • 一旦の手続きを認めることで、リフレッシュした状態でまた3年、5年と貢献してもらえる。

例)

現在、彼は来日5年を迎え、年金の脱退一時金の受給上限(5年)に達しています。このまま日本に居続けると、彼は将来受け取れるはずの多額の還付金(100万円単位)を事実上あきらめることになり、就業意欲の低下や、最悪の場合は他社への転籍を伴う完全帰国に繋がる恐れがあります。

そこで提案なのですが、形式上一旦退職・帰国の手続きをとり、一時金を受け取った上で、再度弊社で雇用し直す形を取りたいと考えています。

本人も『一時金の問題さえ解決すれば、今後も長くこの会社で働きたい』と強く希望しています。優秀な彼を失う損失に比べれば、この手続きをサポートし、再雇用する方が会社にとっても長期的な利益になると判断しております。」

2. 総務担当者への説明(協力依頼と事務的メリット)

総務には「手間はかかるが、会社として合意の上での運用である」ことを明確に伝え、実務的な不安を解消します。

ポイント:

  • 「退職→再雇用」の事務処理をお願いする形になる。
  • ビザ(在留資格)は維持したまま、一時帰国の範囲で行う(または再入国)などの実務調整。

【例】

彼は現在、年金脱退一時金の権利確定(5年上限)のタイミングにおり、会社としては彼に今後も長く定着してもらうため、一時金の受領をサポートすることにいたしました。

具体的には、形式上の『退職・社会保険喪失』の手続きを行い、本人が一時金受領の要件を満たした後、改めて『再雇用・社会保険再取得』の手続きを進める予定です。

実務上お手数をおかけしますが、新たな人材をゼロから採用・教育するコストを考えれば、彼に継続して働いてもらう価値は非常に高いと考えています。」

💡 アドバイス:実施にあたっての注意点

このスキームを成功させるために、以下の点に留意してください。

  1. 在留資格(ビザ)の継続性:
    基本的には「一時帰国」の形をとりますが、脱退一時金の要件は「日本に住所を有しなくなったこと(転出届の提出)」です。再雇用を前提とする場合、入管への届出(所属機関に関する届出)との整合性をどう取るか、事前に確認が必要です。
  2. 社会保険の空白:
    形式上の退職期間があまりに短いと、年金事務所から「一時金の受給目的のみの虚偽手続き」とみなされるリスクがゼロではありません。一般的には、少なくとも1ヶ月程度の期間を空けるケースが多いです。
  3. 再雇用の条件:
    「辞めてから戻ってこない」リスクを避けるため、本人とはしっかり書面や口頭で、再雇用後の条件(給与や勤続年数の扱いなど)を合意しておく必要があります。

3.年金受取フロー

① 転出届(住民票)の提出

脱退一時金の受給要件は「日本に住所を有しないこと」です。出国前に必ず市役所で転出届を出さなければなりません。

② 出国時の「再入国許可」

完全に辞めてビザを捨てるのではなく、戻ってくる前提であれば、空港で「みなし再入国許可」(または事前に入管で再入国許可)の手続きをして出国します。これにより、今の在留資格を維持したまま戻れます。

③ 請求書の送金(母国到着後)

日本国内からは請求できません。母国に到着した後、日本の年金機構へ書類を国際郵便で送ります。

  • 必要書類: 脱退一時金請求書、パスポートのコピー(出国印があるもの)、銀行口座証明、年金手帳。

④ 20%の所得税還付(忘れてはいけない点)

脱退一時金は、振り込まれる際に20.42%の所得税が差し引かれます。 この差し引かれた分は、日本に再入国した後(または日本にいる協力者=納税管理人を通じて)、税務署に申告すれば全額取り戻すことができます。

区分内容
提出者請求者(本人または代理人)
提出先日本年金機構本部または各共済組合等 ※加入していた制度およびその期間により提出先が異なります。  ※日本滞在中の年金の加入期間が、国民年金または厚生年金保険の期間のみである場合の脱退一時金は、日本年金機構あてに請求手続きを行ってください。
提出方法郵送・電子申請  ※旅行など就労以外の目的で来日した場合には、年金事務所または街角の年金相談センターの窓口での提出が可能です。
提出時期短期滞在の外国人が日本の住所をなくして出国後2年以内

ただし、所得税20.42%が発生するため、所得税を差し引いた101万9418円が指定口座に振り込まれます。所得税(26万1580円)は後日還付申告をすることで払い戻しを受けることができます。

受給額 例)

23万3333円(平均標準報酬額)×18.3%(保険率)×1/2×60(支給計に用いる指数)
=128万998円   受給額=128万998円 こちらが外国人スタッフの受け取り額となります。

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