【完全実務ガイド】建設特定技能受入計画の申請・手続きマニュアル
建設業界の受入担当者や行政書士の方が実務でそのまま活用できる、分かりやすく網羅的な解説ガイドラインです
建設分野における特定技能外国人の受け入れでは、出入国在留管理庁(入管)への在留資格申請を行う前に、国土交通省(国交省)から「建設特定技能受入計画」の認定を受けることが法律で義務付けられています。
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1. 申請スケジュールと全体の流れ
建設特定技能の手続きは、国交省と入管の「二段階審査」となります。手続きには数ヶ月を要するため、計画的な準備が必要です。
- 申請可能時期: * 技能実習から特定技能へ移行する場合:実習修了期の6ヶ月前から申請可能。
- それ以外の場合(国内外からの新規採用など):雇用開始予定日の概ね6ヶ月前から申請可能。
- 審査期間の目安:国交省の審査期間は1ヶ月半〜2ヶ月程度(補正期間を除く)。地方によってはさらに数ヶ月かかる場合があります。
- 並行申請の活用:国交省への「受入計画認定申請」と、入管への「在留資格申請」は並行して申請(同時進行)が可能です。ただし、入管の最終許可は、国交省が発行する「受入計画認定証」が提出されない限り下りません。
2. オンライン申請で必要な主要テンプレート(様式)と作成ポイント
国交省への申請は「外国人就労管理システム」を用いた電子申請が原則です。システムへ入力するほか、指定のExcelテンプレートに記入してPDF/JPEG化した書類をアップロードする必要があります。
① 雇用契約に係る重要事項事前説明書(日本語および母国語併記)
外国人が十分に理解できる言語(ベトナム語、インドネシア語、ミャンマー語など10言語以上の公式テンプレートあり)を用いて、雇用条件を事前に説明し、本人の署名をもらう必要があります。
② 同等の技能を有する日本人と同等額以上の報酬であることの説明書(★最重要)
建設分野で最も厳しく審査されるのが「日本人と同等以上の報酬(月給制)」であるかという点です。社内の比較対象(日本人)の選定状況によって、テンプレートの書き方が異なります。
- 社内に同等技能の日本人がいる場合:
その日本人の賃金実績と比較し、今回の外国人との給与額の差が合理的な範囲内(手当の違いなど)であることを表下に具体的に記載します。 - 同じ職種の日本人がいるが、技能レベル(経験年数)が異なる場合:
その日本人と比較した上で、賃金差の合理的な理由(経験年数の違いによる基本給の差など)を説明します。 - 社内に同じ職種の日本人が一人もいない場合(任意様式での説明が必要):
以下のいずれかの客観的根拠を提示し、適切な報酬額を設定していることを証明します。
- 自社の就業規則や賃金規定に基づき、「3年〜5年程度の経験者に支払うべき報酬額」の基準を提示する。
- 厚生労働省の「賃金構造基本統計調査(e-Stat)」から、自社のある都道府県の「D 建設業」シートを参照し、同等の経験年数を持つ建設技能者の平均賃金水準を参考根拠として提示する。
- 周辺地域の「設計労務単価」などを根拠として提示する。
③ 同等の技能を有する日本人の実務経験年数を証明する書類
比較対象とした日本人の職歴や実務経験を証明する書類です。
⚠️ 実務上の注意点
建設業許可申請で使用する「実務経験証明書」には、特定技能の審査に必要な情報が不足しているため代用できません。
必ず国交省が用意している専用の参考様式に則って作成してください。
3. 就労開始後に発生する「受入報告」の手続き
無事に在留資格が許可され、外国人が就労を開始した後は、速やかに「1号特定技能外国人受入報告書」をシステムから提出しなければなりません。
- 開始年月日の定義: 受入報告書に記載する「建設特定技能開始年月日」は、在留カードに「特定技能1号」と交付・記載された年月日となります。
- 海外からの新規入国者の場合: 入国後、速やかに「建設キャリアアップシステム(CCUS)」への登録を行い、原則として入国後1ヶ月以内にCCUSの技能者IDを証明する書類を添えて受入報告を行ってください。
- 在留期間更新時の注意: 在留資格を更新(ビザの延長)した際は在留カード番号が変わるため、その都度、受入報告の画面から該当者の情報を修正・更新する必要があります。
4. 条件変更時の対応:「変更申請」と「変更届出」の切り分け
雇用契約の内容や会社の体制が変わった場合、事前の「変更申請(認定が必要)」か、事後の「変更届出」を行う必要があります。
| 区分 | 対象となる主なケース | 手続きのタイミング |
| 変更申請 (要・国の認定) | ・雇用の根幹に関わる事項(賃金の引き下げ、職種の変更など)・受入計画認定証に記載されている重要事項の変更 | 変更が発生する前に申請し、認定を受ける必要がある |
| 変更届出 (報告のみ) | ・会社の住所変更や代表者名の変更・賃金の引き上げ(外国人にとって有利な変更)など、変更申請以外の項目 | 変更発生後、すみやかに提出 |
※手続きを怠ったり、無断で契約内容(特に賃金)を変更したりすると、受入計画の認定取り消しや、今後の受け入れができなくなるペナルティの対象となります。
5. 申請前のチェックリスト(事前準備)
国交省へのシステム申請を行う「前」に、以下の公的機関・団体への登録が完了しているか必ず確認してください。これらが未完了の場合、受入計画の申請自体が進められません。
- JAC(建設技能人材機構)への加入(またはJAC正会員である建設業団体への所属)
- 受入企業(事業者)の建設キャリアアップシステム(CCUS)登録
- 外国人本人のCCUS登録(技能実習生時代に登録済みの場合は、特定技能への所属変更手続き等が必要)
まとめ・相談窓口
建設特定技能の申請は、他職種に比べて「月給制の厳守」「日本人との給与比較」「CCUSの義務化」など、建設業独自のルールが非常に多く、補正(差し戻し)になりやすいのが特徴です。システムで「引き戻し・再編集」を行うと、審査順位が後ろに回ってしまうため、最初の段階で書類を完璧に揃えることが早期認定の鍵となります。
手続きやシステムの操作方法、報酬設定の基準で迷った場合は、以下のヘルプデスクを積極的に活用してください。
- 全般・システム操作に関する問い合わせ:建設技能人材機構(JAC)ヘルプデスク:0120-220-353(平日 9:00〜17:30)
- 制度の根本的な確認:国土交通省 不動産・建設経済局 国際市場課:03-5253-8111(代表)


